Racing Diary 2003's Race

全日本ロードレース選手権 第5戦 もてぎ

2003年7月19~20日 栃木県 ツインリンクもてぎ

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ケンツGSX-R1000今期 3勝め!北川圭一 ブッチギリの優勝!

  いつもお世話になっています。ケンツJトラストMOJO-WESTの北川圭一です。今回は今シーズンの全日本選手権ロードレースの、僕の参戦レポートです。
 レースが終わった翌日に、皆さんに報告させていただこうと思います。

  今回の全日本ロードレース第5戦は、鈴鹿200kmからちょうど2ヶ月空いてのレースです。でも、ぼくらライダーはもちろんそのまま休みとなるわけにはいきません。この間、テストをしたり8耐の準備をしたり、さらにイベントに出たりと、レース以外でも忙しい日々でした。

  もちろん8耐の準備と平行して、このもてぎの準備もしっかりできたインターバルでした。 

  もてぎ入りしてからのレースウィークは、どうも天気が思わしくない。金曜の合同テストこそドライで走れたものの、土曜の予選はどうも雨らしい。今のうちに、と思って、金曜はドライのセットアップを出すことに専念していました。

  もてぎは7月のアタマに事前テストをできていたので、まずその状態から走行を開始すると、いいフィーリングで走れました。

  これをまずは基準のセットアップとして、午後の走行ではもう1トライ、違うセットアップを試してみました。と言っても、JSBのマシンにそう変更箇所があるわけではなく、前後のサスのアジャストを1クリック変えるとか、そういう細かいレベル。

予選総合で4番手

  でも、マシンのセットアップはピンポイントですから、ベストを外すと平気でラップタイムが0秒5から1秒はかわってくる。 だから、午後の走行はあえてセットアップを「進めすぎ」にして、結果は午前よりタイムが落としてしまった。

  でも、この金曜の段階でこのセットアップにトライして失敗できたのが、あとになって大きな意味を持つことになったのです。

  土曜の公式予選はやっぱり雨。もちろん決勝が雨のときのことも考えてマシンのセットアップを進めて、午前はトップタイム、午後は4番手。しかし、午後は路面の状況が結構微妙で、レイン、カットスリック、スリックとタイヤを履き替えて、いざアタックと思ったら雨が降ってきたりで、あまり参考になる順位ではありませんでした。

  予選総合で4番手は、フロントローの一番イン側。

  1列目に並べれば、予選はまぁOKです。

  雨のセットも進んだし、決勝は晴れでも雨でもOK。もちろんドライの方がいいに決まっていますが、ここまでの準備はOK、という感じで決勝に臨むことができました。

そして迎えた決勝は、朝から雨も上がり、路面もドライ。朝のウォームアップでは、金曜午前に出しておいた基準のセットアップから、またちょっと進めて走行。朝のウォームアップでは、高くなる路面温度のことも考えながらセットして、またいいフィーリングで走ることができました。

  結果は2番手のヨシムラ渡辺選手にちょうど1秒差をつけてトップタイム。このセトアップでイケるかな、と思った瞬間でした。

決勝スタートは、13時25分。いつも、レース前にはどういうレースにしようかと考えるんですが、今回も序盤は誰かについていって、後半に勝負を仕掛けて…とかいろいろ考えたものの、グリッドに着いたときにはもう考えが変わって、とにかく序盤から行けるところまで行こう、とハラを決めていました。

  このマシンの仕上がりなら、最初からスパートすれば誰もついて来れないだろう、という期待も込めて、です。

  スタートでもいいダッシュができて、江口選手(ホンダ)に続いて2番手くらいで1コーナーに入って、そのまま1周目のダウンヒルストレートでトップに立ちました。

もてぎ 決勝レース

  マシンは快調で、2番手以下の江口選手、山口選手(ホンダ)、井筒選手(ホンダ)、渡辺選手を引き離し気味のタイムで走れています。とにかく行くところまで行く、と決めたとおり、序盤からペースをゆるめずに、全力で走っていました。サインボードを見ると、2番手との差がどんどん開いている。このまま、このまま――。

  2番手との差は、3周目に2秒3、4周目に4秒2、5周目に4秒3、6周目に5秒2と、順調にトップを独走することができました。タイヤは、いわゆる柔らかめを履いて出たのですが、このタイヤは設定温度と路面温度画がちょうどフィットすると、いくら柔らかいとはいえ、レースディスタンスは十分もつようになっているので、このタイヤチョイスもバッチリ。

  4周目に2番手に上がってきた渡辺選手との差はその後も開いて、11周目にはとうとう10秒を越えました。こうなると、このソフトタイヤにもやさしい走り方、ラインが選べるから、なおさらいい展開。ラップライムも、他のライダーより1秒から1秒半は速かったので、とにかく前へ前へ。

  結局、最終的には2番手との差を最大で15秒以上つけて、独走でチェッカーを受けられました。コースレコードもレース中のベストラップも出せて、まさに完勝。

  これで4レース走って、優勝3回、2位1回。最高の状態で前半戦をターンできました。 ここまでブッチギリで勝てるのはめったにないことだし、やっぱり気持ちいい。思い通り、サイコーです。

  でもこれも、当日までにしっかり準備ができたからこその勝利でした。7月にダンロップのテストでもてぎを走ることができて、そのまま居残りで翌日には一般スポーツ走行も走りました。そこでドライのセッティングを詰められたのが大きかったです。

  マシンの仕様は鈴鹿200kmから大きく変わらないし、マフラーがニュータイプになったぐらい。

  さらにその状態から、レースウィークの金曜午後に、セットアップを失敗できていたのも大きかった。たとえばそれが土曜の予選、日曜朝のウォームアップで失敗してしまっていたら、準備もできず、バタバタしたままで決勝を迎えなければなりません。その意味で、早めにセットップに失敗しておけたのが、今回の最大の勝因かもしれませんね。

2番手との大差でチェッカーフラッグ

  レース展開も理想どおりです。最初に逃げて独走できたら、競り合うこともなくベストラインを走れて、結果タイヤにも優しい走りができる。2番手以下の集団は、序盤からポジション争いをしてタイヤを使ってしまっているから、タイヤに厳しいコンディションなのに、さらに苦しくなる。

  逆に言えば、一番気をつけなければならないのも、このパターンなんです。誰かにトップで逃げられて、その間ポジション争いをしてタイヤを消耗させるというのが、トップに迫りたくても迫れない、一番イヤなレースですからね。 事前の準備も、当日の戦略も、すべて当たったもてぎになりました。

  前回の鈴鹿200kmでは、ヨシムラの渡辺選手に負けて、本当に悔しかった。スタッフのみんなが時間のないなかマシンを組み上げてくれて、決勝にぼくを送り出してくれたあとは、やっぱりあとはぼくの仕事。そこで優勝できないと、やっぱりチームのみんなの苦労に報えなかった、と思ってしまうんです。

  今回も、もてぎの1週間前には鈴鹿で8耐のテストをやって、それからまたマシンの準備をして、のもてぎ入りでした。その間、シンドい思いをしてマシンを組み上げ、整備してくれたみんなに、最高の結果をプレゼントすることができたのがうれしいですね。

2番手との大差でチェッカーフラッグ

  これで、次はいよいよ8耐です。鈴鹿でのテストではいいタイムで走れたし、相棒となる藤原克昭とも久しぶりに会って、一緒に走ってセットアップを合わせて、いい準備はできています。

  正直、テストの時間がまだまだ足りませんが、それはどこのチームも同じこと。総合優勝できる位置にいるし、GSX-R1000での3回目の8耐ですから、3度目の正直、で優勝を狙っていきます。

  これからも、北川圭一と、ケンツJトラスト&MOJO-WESTの活動に、ご理解、ご声援をお願いします!

'03.7.21
北川圭一選手より
川島賢三郎 ケンツJトラストMOJO-WEST チーム監督
いやぁ最高のレースだったね!周りにとってみればつまらないレースだったかもしれないけど、これだけブッチギれて気持ちイイね。セットアップも決まってたからね。良い仕事をしてくれたスタッフのみんなに感謝ですね。
RESULT
順位 ライダー マシン
優 勝
北川 圭一
スズキGSX-R1000
2位
渡辺 篤
スズキGSX-R1000
3位
山口 辰也
ホンダCBR954RR
4位
民辻 啓
スズキGSX-R1000
5位
中富 伸一
ヤマハYZF-R1
6位
大崎 誠之
ヤマハYZF-R1
7位
伊藤 真一
ホンダCBR954RR
8位
東村 伊佐三
カワサキZX-7RR
9位
出口 修
ホンダCBR954RR
10位
井筒 仁康
ホンダCBR954RR

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