Racing Diary 2003's Race

全日本ロードレース選手権 第3戦 筑波大会

2003年5月10~11日 茨城県 筑波サーキット

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ケンツGSX-R1000+北川、筑波大会で優勝!これで今シーズン負け知らずの2連勝

  いつもお世話になっています。ケンツJトラストMOJO-WESTの北川圭一です。今回は今シーズンの全日本選手権ロードレースの、僕の参戦レポートです。
 レースが終わった翌日に、皆さんに報告させていただこうと思います。

  開幕から1ヶ月半、いよいよJSBの第2戦でした。
いま考えてみると、開幕戦は勝てたとはいえ、自分的にはまだまだ、のレースでした。
  直前までテストをやって、なんとか開幕には間に合いましたが、去年とはマシンも変わって、まだまだきちんと思い通りにコントロールできるセットアップにはなっていなかった、というのが正直なところです。  

  去年のマシンは、基本的にどうイジってもいい「プロトタイプ」で、今年はあんまりイジるところがない「JSB」ですから、やっぱり仕様は大きく違います。幸い去年のプロトのマシンも、ケンツはエンジンをカリカリにチューニングするようなマシンにはしていませんでしたから、やっぱり車体まわりのセットアップがカギなんです。

  これを解消するには、とにかくテストを重ねること。今回も、ゴールデンウィーク前にケンツで筑波を借りて、そろんなエントラントやチームに声をかけての合同テストもやってきました。

   その合同テストでもう一歩のところまでセットできたので、このまま終わるよりもう一回、と思って、その翌日の一般スポーツ走行もチームに無理いって走らせてもらいました。結果的に、この追加テストが効きましたね!

  筑波入りして、金曜の合同テストから、ちょっとタイムは出ていなかった感じでした。

  もちろん、事前に走ったテストとは気温も路面温度も違うし、タイムは出ても、なんかフィーリングが違う。しっくり来ないんです。もちろん、大きな原因があるわけではなく、人間の感覚なので、コレが一番厄介ではありますね。

  土曜に予選が始まっても、まだフィーリングはイマイチでした。タイムはレコードが出るんですが、まだイケるまだイケるんじゃないか、という感じ。

 

予選

  1回目が57秒473で組別2番手、2回目が57秒228で3番手。結局グリッドはフロントローぎりぎりの4番手。ポールはヨシムラの渡辺で、ただひとり56秒台に入れて56秒863。ヨシムラのマシン、走ってるなぁ、という感じでした。

  ただ筑波のレースは、小さいレイアウトを30周もするので、10周もすればあらわれる周回遅れをかわしてかわして、というのがレースの展開を左右します。なので、予選タイムはそこまで重要じゃない。タイヤがタレてから、周遅れをかわすためにベストライン以外を走らなきゃいけないので、そういう走りをしても無理のない車体に仕上げるのが重要です。その意味では、金曜から決勝朝のフリー走行までコツコツと、できることはやった、という感じでした。

決勝に向けて

  でも、今回はちょっと厳しいかな、というのが正直なところでしたね。もちろん勝ちたいけれど、ヨシムラもホンダもヤマハもマシンが速くなっているし、そう簡単に連勝はさせてくれないだろう、という感じでした。

  決勝はなんとかドライのままでした。土曜までは初夏みたいに晴れていいコンディションだったんですが、日曜の予報は、午後あたりから雨。朝から曇って、空気も湿り始めて、いつ降りはじめてもおかしくないって感じだったんですが、どうにか持ってくれました。  


  スタートは渡辺に続いて2番手でした。後ろに井筒、中富がいて、スズキ、ホンダ、ヤマハの順ですね。この筑波ではCBRがかなり速くて、ちょっと井筒が出てきたら厄介かな、と思っていましたが、やっぱり井筒も上手くマシンを仕上げてきましたね。

  そのままこの4人がトップグループで、序盤はひたすら、渡辺だけをマーク。これを続けていたら、渡辺もタイヤがキツくなったのか、ちょっとずつラインや進入でミスる場面があって、そろそろ周遅れも出始めるから、早めに前に出ておこう、と15周目にトップに出ました。

  トップに出ても、サインボードを見ていたら、2番手の渡辺となかなか差がつかない。そうしたら、筑波ではもう周遅れの処理が勝負を決めるんです。なるべく安全に、ではありますが、抜けると思ったら躊躇せずにスパッと。ここは抜けないかもしれないから、次のあそこまで待って、と考えると、すぐに後ろから差を詰められますからね。

  結局レースの後半は、タイヤがタレて、周遅れをかわすからいいラインは走れない、という展開が続きます。これを辛抱した方が勝ち、と思って、ずっと集中を切らさずに走りました。
   結局、終盤はちょっとずつ2番手以下との差がついて、2連勝することができました。2番手の井筒との差は1秒620。30周もして1秒ちょっとしか差がつかないという、やっぱりキツいレースでした。

今回はブリヂストンタイヤを履いているライダーが速くて、しかもテストでは、40周しても57秒台で走れた、というデータがあったみたいなので、ちょっと脅威かな、と思っていましたが、なんとか逃げ切れました。 

  僕はダンロップなんですが、決勝用に選んだタイヤも、そう大きく急激にタレることもなく、最後までもってくれたのも勝因ですね。
  金曜からすこしずつマシンをセットして、今回はダメかな、と思いながらも勝てたので、いい展開だったんですね。タイヤももってくれたし、車体も決勝日朝までいろいろトライしたおかげで、ずいぶんいいフィーリングで走ることができた。やっぱりマシンが完璧になることはありえないので、スタッフが仕上げてくれたマシンを、あとは人間ががんばってカバーしなきゃなんないんです。そう考えてみると、予選まではぼくががんばってなかったのかもしれないですね(笑)。  

  さぁ次はまた鈴鹿です。僕がいちばん得意なコースだし、次の鈴鹿は200km。そろそろ8耐のことも考え始める時期なので、また気を引き締めてがんばってきます。 

   皆さんのご声援のおかげで、今回もいい結果を残すことができました。今後とも、北川圭一、ケンツJトラストMOJO-WESTを、よろしくお願いいたします。

 

'03.5.12
北川圭一選手より
川島賢三郎 ケンツJトラストMOJO-WEST チーム監督
とにかく開幕2連勝はとてもうれしいですね。今回は前戦とのインターバルが長かっただけに、ライバルのみんながマシンを仕上げてくると思っていたから、そう簡単には勝てないと思っていました。レースウィークに入って公式練習、予選、そして決勝の朝のフリー走行までセットアップに時間を費やし、なんとかマシンをまとめ上げることが出来たのが勝因ですね。また北川のベテランらしいレース運びも光りましたね。この調子でチーム一丸となって、次もまた頑張ります。
RESULT
順位 ライダー マシン
優 勝
北川 圭一
スズキGSX-R1000
2位
井筒 仁康
ホンダCBR954RR
3位
中富 伸一
ヤマハYZF-R1
4位
渡辺 篤
スズキGSX-R1000
5位
辻村 猛
ホンダCBR954RR
6位
伊藤 真一
ホンダCBR954RR
7位
江口 馨
ホンダCBR954RR
8位
民辻 啓
スズキGSX-R1000
9位
出口 修
ホンダCBR954RR
10位
中村 健一郎
ホンダVTR1000SP2

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