Racing Diary 2002's Race

全日本ロードレース選手権 第4戦オートポリス

2002年6月9日 大分県 オートポリス

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全日本ロードレース第4戦オートポリス大会速報! 北川、骨折しながらも5位でゴール!

全日本ロードレースの第4戦は、初の九州の地で開催された。場所はヨーロッパのサーキットを思わせる広大なオートポリス。事前テストで好タイムをマークしていた北川圭一とケンツGSX-R1000、前回の鈴鹿200kmに続いて総合の表彰台を狙う。

 初のサーキットということで、フリー走行は6月6日の木曜日から行われた。午前中はセッティングの確認などのカリキュラムを順調にこなす。そして午後の走行はサスペンションを中心にセットアップを進めることにして、北川はコースイン。タイヤも暖まった3周めにそのアクシデントは起こった。なんと下り勾配10%の最大高低差52mという通称ジェットコースターコーナーでフロントブレーキトラブルが発生、北川は200km/h以上のスピードからほぼノーブレーキ状態で転倒してしまったのだ。

 救急車でメディカルセンターに運び込まれた北川だが、幸いにも意識ははっきりしており、スタッフもまずは一安心。だが首や足、手首などに激しい痛みを訴える。メディカルで応急処置を受けた後、レントゲン診察を受けるため、クルマで1時間ほど走ったところにある熊本セントラル病院に向かった。首や足、手などレントゲンを撮った結果、ドクターの診察は右足首くるぶしの剥離骨折。そしてもちろん全身打撲。ドクターは当然ながら足首の固定を勧める。北川と監督の川島は日曜にレースがあることをドクターに説明し、とりあえず仮固定程度のギプスにしてもらい、痛み止めの薬を受け取って病院を後にする。

今回のレースはリタイヤもありえるが、とりあえず翌日の朝の様子を見てから判断することにした。

翌7日、患部のアイシングが効いたのか、前日より体調はいくぶんマシになったと申し出て、北川はとりあえず午前中の走行に臨む。骨折している足首と手首をテーピングで固定し、スタッフが半徹で直したGSX-R1000にまたがり、なんと1分54秒645というタイムをワークスに次ぐタイムをマークし、梁、加賀山、渡辺、北川の順位で走行を終了する。

さらに午後のフリー走行では1分52秒881までタイムを詰め、なんとスズキワークスGPマシンGSV-Rの2台とカワサキGPマシンのZZ-RRに次ぐ4位で走行を終える。しかしマシンから降りる北川は足と首の痛みで、当然ながらかなりしんどそうである。この体調でこのタイムをマークするとは、なんたる精神力か。

北川 足と首の痛みを堪えてのフリー走行

予選1回目、前後サスペンションもいい方向でまとまり始め、エンジンも好調、35分の終了間際に1分52秒216というベストタイムを記録する。なんとまたもや2台のGSV-Rに次いで3位で予選1回目を終了する。2位の加賀山選手とのタイム差は百分の6秒差という接戦で、しかも4位にはカワサキワークスGPマシンのZZ-RRを駆ける柳川明選手がいるのだ。

 午後の予選2回目、北川はさらに1分51秒886までタイムを縮め、チェッカーを受ける。この時点では3位だったが、その後柳川選手が1分51秒458、スズキワークスの渡辺篤選手が1分51秒825、ヤマハワークスの辻村猛選手が1分51秒863と、わずか百分の数秒という間に3選手が入る大接戦を展開する。北川は惜しくも予選6位となったが、タイム差はほとんどないに等しい。決勝レースが楽しみだが、問題は北川の体調が最後まで持つかどうかだ。

 迎えた決勝日、オートポリスは今日も快晴で日差しはほとんど真夏に近い。骨折という体調を押して出場の北川には非常に厳しいシチュエーションになっている。

 スタート前のセレモニーが長引いたためウォーミングアップランを2周とした後、グリーンシグナル点灯でスタート。セカンドローからスタートの北川は抜群のロケットダッシュを決め、1周目は4番手でメインストレートに帰ってきた。すぐ前にはワークスのプロトマシン3台で理想の展開だ。ところが間髪をいれずにメインポストから激しく赤旗が振られた。最終コーナーでの多重クラッシュが原因だった。

北川 抜群のロケットダッシュ

リスタートは20分後とアナウンスされたが、周回数は減算されないままだ。2回目のスタート、北川はなんと8番手で1コーナーに突入するという展開だった。そして1周めのヘアピンで、北川の前にいたヤマハの吉川選手とカワサキの西嶋選手が激しく接触して転倒するというアクシデントに危うく巻き込まれそうになり、ここでトップグループと3秒以上の差が早くもついてしまう。トップは梁、これに加賀山、柳川、渡辺、辻村の5台がほぼダンゴ状態。6位にやや離れされた北川が続くが、北川の猛追がここから始まった。1分52秒前半のファステストラップを連発し、7周目には辻村の背後にぴったりとつき、トップグループに加わったのだ。ここでも北川は渡辺、辻村のワークススーパーバイク勢よりも速いタイムで周回を重ね、何度もコーナーで並びかけるという展開が中盤まで続く。

 バックマーカーが現れる後半に、なんと梁選手がヘアピンで転倒するというアクシデントが発生。これで加賀山と柳川のmotoGPマシン2台がやや後続を離し、北川は渡辺、辻村と3位争いを展開することとなった。ところが柔らかめのコンパウンドのタイヤをチョイスし、また前半の猛チャージでタイヤを使い果たしたこともあって、3位争いのトップに出ることは出来ず、北川は5位でチェッカーを受けた。

ケンツJトラスト&MOJO 北川選手
2回目のスタートは失敗した上、吉川選手と西嶋選手の接触事故にもう少しで巻き込まれるところだった。これで前とすごく離れちゃったけど、なんとかトップグループに追いつくことが出来た。チャージしようと思った後半はタイヤも体もしんどかったけど、なんとか5位でゴールできたから、よしとしておきましょう。まあ最後までよく体がもってくれた。あちこちが痛いです。
ケンツJトラスト&MOJO 川島監督
木曜日のアクシデントのことを考えると、この5位という成績には満足できる。一時はリタイヤということも考えたのだからね。とにかく右足くるぶしの剥離骨折という体調でこの成績だから、北川の精神力を賞賛しますよ。

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