KENZ SPORTS
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レーシングダイアリー
全日本ロードレース選手権 第7戦 スポーツランド菅生
'03年9月13-14日
宮城県 スポーツランド菅生

ケンツGSX-R1000+北川圭一、4勝めをゲット!最終戦を待たずしてチャンピオン決定

 いつもお世話になっています。ケンツJトラストMOJO-WESTの北川圭一です。今回は今シーズンの全日本選手権ロードレースの、僕の参戦レポートです。
今回は、やっとチャンピオン獲得の報告をできることになりました!

 灼熱のオートポリスから3週間。今度は北へ移動し、今年初めての菅生でのレースです。ここまで6戦を終えて、優勝4回、2位2回。この菅生で優勝すればチャンピオンが決まる、という状態でした。タイトルの可能性があるのは、ヨシムラの渡辺 篤選手と、TSRの辻村 猛選手。本当なら、アツシが何位のとき、ぼくが何位で、というチャンピオンの計算上の条件、というものがあったんですが、細かいことは頭にいれずに、とにかく優勝あるのみ。優勝すればチャンピオンになれるわけですから、いつもどおりのレースをすればいい、と思っていました。

 その菅生、事前にテストには来ましたけど、雨でロクに走れず、準備万端とは言いがたい状態。でも、菅生は何年も走りこんできているコースなので、大きくセットアップが変わったり、予測できない事態が起こるわけでもありません。金曜、タイムアタックよりは徐々にマシンのセットアップを詰めて、土曜の公式予選へ。状態はよくもなく悪くもなく、順調に仕上がっている、という感じでした。

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 しかし明けて土曜は、台風の影響からか、菅生独特の濃霧。そういえば、去年の菅生もこうやって予選の時間が短縮されたような気がします。土曜朝イチから予定されていたST600もGP125も予選がキャンセルになって、JSBの時間帯でようやくややクリアになって走行開始。ここでもマシンを詰めて、タイムアタックまでいかないまま2番手のタイム。本格的に攻めていくのは午後かな、と思ったら、午後はまた濃霧のため開始時間が遅れ、結局そのまま視界不良で中止されてしまいました。

 ちょっと走り込みは足りなかったけれど、他のライダーも同じ条件。グリッドもフロントローだから、まぁ心配ないです。考えてみれば今シーズンはあまり予選を重視していなかったから、ポールは開幕戦の1回だけ。少し前は、やっぱり予選でもポール狙いの気持ちがあったので、このへんも、レースへ臨む心構えが変化したのかもしれません。


 そして迎えた決勝は晴れ。この時期の菅生にしては暑く、気温30度近く、路面温度もオートポリスほどではないにしろ高い。ちょっと暑かったけれど、いいコンディション。

 決勝スタートは失敗しないまでも、アツシがいいダッシュでホールショットを獲り、ぼくが2番手。3番手以下には井筒選手(桜井ホンダ)、辻村選手、そしてドゥカティの沼田選手がついてきて、この5人がトップグループを作ってレースをリード、という展開になりました。

 今回もヨシムラのマシンが走っていましたから、序盤から逃げて、という手が使えない以上、序盤はトップに立つであろうアツシにずっとついて行って、ラスト10周ぐらいで勝負をかけよう、とチームで言っていたんです。

 レースは、その読みが上手く行く展開になりました。アツシが逃げ、ぼくがそれをずっとマークする。3番手には辻村選手が上がってきましたが、敵はやはりヨシムラの、マシンも同じGSX-R1000。何度かかわせそうなタイミングはありましたが、後でジッとプレッシャーをかけてやる展開を狙っていたんです。



 そしてレースも残り10周となる16周目、お互いタイヤもつらくなっているので、どうしてもうまく理想のラインをトレースできにくくなり始める中、シケインでアツシをかわしてトップに浮上。狙いすましてトップに立ったので、あとはこのまま逃げればいいだけです。周回遅れも出始めて、ついてくるアツシと辻村選手を抑えきって、ついにラストラップへ。この時点で3秒近く差をつけていたので、正直、この周にやっと優勝とチャンピオン獲得が頭をよぎりましたね。

 そして、今シーズン5回目の優勝。なにより勝ってチャンピオンを決められたのが、本当にうれしかった。短かったような長かったような今シーズン、ぼくにとっては2001年にS-NKクラスチャンピオンになったのと、その前には10年前の1993年にカワサキでTT-F1チャンピオンになった以来の、タイトルでした。やっぱり日本一はいい! 素直にうれしい優勝と、ものすごくうれしいチャンピオンです。

 実際、プレッシャーはありました。菅生入りしてから、いつもどおりのレースをすればいいんだ、と思っても、そう思いすぎちゃって眠れなくなったり、チームのスタッフもプレスのみんなも、なるべく「チャンピオン」とか「タイトル」という言葉を使わずに、なんかよそよそしい雰囲気。周りが気を使ってくれるのが、痛いほど分かりました。

 だから、レースはいつものように、優勝あるのみ。優勝することを考えていたら、チャンピオンがどうのこうのなんてことを忘れて集中することができたので、そうやってウィークをすごしていました。だから、レースがおわると、やっぱりホッとしましたね。



 真っ先に考えたのは、やっぱりチームスタッフのみんなのことでした。ケンツで走らせてもらうようになって3年、川島監督をはじめ、スタッフみんなで闘うことの大切さがよくわかった期間でした。この場を借りて、スタッフのみんなに真っ先にお礼を言いたいと思います。

 チーフメカの高橋さん。今年からチームに加入してくれて、本当に心強かった。マシンを作ること、セットアップすることに、とてもアツい人です。とにかく現場ではぼくの意見を最大限に尊重してくれて、たとえ高橋さんが違うな、と思ったことでも、まずぼくの思うようにさせてくれて、その後に「こうしてみたらどうかな」って言ってくれる。今シーズンはここまで、1回もマシンのセットアップを外しませんでした。去年までスズキワークスにいたこともあって、経験もあるし、データを解析する能力もある。そして、マシンをよくするためには徹夜だっていとわない、そんなアツい人です。ありがとう、アニキ。

 
サブメカをやってくれた土方(ひじかた)さん。去年まではレースのときにヘルプで来てくれていたのが、今年の途中から正式にケンツのスタッフになってくれて、とても助かりました。神経の細やかな人で、職人肌の高橋さんを最大限に立てて、いつも先回りして行動をしてくれる人です。ぼくが走行を終えて、高橋さんとマシンの打ち合わせをしていると、必ず土方さんがいつの間にかカウルをばらして、いつでも高橋さんが整備を開始できる態勢を作ってくれています。サインボードの出し方さえいろいろぼくに聞いてきてくれたり、いつも黙々とチーム内のサポートをしてくれました。ありがとう、ヒジちゃん。

 中澤君は、無償でチームを手伝ってくれているヘルパーです。本職は別にあって、体が空いたら土日にレースに駆けつけてくれるんですが、今回はタイトルがかかっているレースということもあって、金曜から休みを取ってくれて駆けつけてくれました。耐久では、チームを手伝ってくれて3年。ぼくが脱いだつなぎを乾してくれたり、装具の準備やマシン整備のヘルプなど、こういう役割の人がいないと、チームはまったく機能しません。その意味で、目立たないけれど、いつもぼくの動きに気を配ってくれていました。ありがとう、中澤くん。

 レイクラフトの原沢さんご夫妻は、マシンのデータ管理のプロフェッショナルです。インジェクションのセットアップや、データの解析、管理ができる、現代のレーシングチームにはなくてはならない人です。昔のマシンで言うと、キャブレターのセッティングに当たる作業を原沢さんがやってくれるわけです。マシンのフィーリングに問題があったとき、どうなん原沢さん、というのがぼくのいつものやり方(笑)。ぼくが感じた症状を、きちんとデータで説明して、解析してくれる、ある意味すごく重要なメカニックでもありますね。その分、何も問題がないときは、原沢さんの出番は多くありません。その意味では、影の立役者ですね。ありがとう、原沢さん。

 それから、チーム監督の川島さん。2000年オフにチームスズキを出たぼくに一緒にやろう、と言ってくれて、この人がいなかったら、今のぼくはないと思います。とにかくチームの監督として、スタッフ一人ひとりが仕事をしやすい環境を作ってくれる天才で、ぼく自身、すごくやりやすい、やりがいのあるチームに仕立て上げてくれている人です。ワークスチームからショップチームに移籍したことで、目標を見失いがちだった時期に、S-NKでワークスをブチ抜こうぜ、とか、プロトタイプで鈴鹿6秒出しちゃえ、とか、明確な目標を提示してくれて、ぼくのやる気をいつも燃やしてくれた。

 すべては勝つために、一生懸命に行動をしてくれて、高橋さんと同様、すごくアツい人。ぼくのこともすごく尊重してくれて、実はぼくと川島さんは、一緒に飲みに行くぐらい仲がいいんです。こんなライダーと監督の関係って、他ではないと思いますよ。

 チーム予算やマネジメントをしてくれる奥さんの知子さんも、いつもレースを見に来てくれて、僕の勝つ姿を自分のことのように喜んでくれる。本当はショップにいて、いつも予算のやりくりをしてくれている大蔵省なんですが(笑)、 昔ご自分でも走っていたような、ホンマのレース好きなんです。監督、奥さん、本当にありがとう。

 それから、チームのメインスポンサーであるJトラストさんに、MOJOのみなさん。それに、いまや日本で一番有名な応援団である、ぼくの応援団のみんなに、いつもWEBで、サーキットで応援してくれたファンの皆さんへも、本当にありがとう。みんながいなかったら、ぼくは本当にレースを続けていたかわからないというほど、本当に勇気づけられています。

 ワークスチームを出てケンツで走るようになって、目標を見失い、中途半端なポジションを走って、何年かしたらいつの間にか辞めていく……正直、そんな自分を想像した時期もありましたが、たくさんの人のヘルプや励ましのおかげで、ぼくもがんばり続けることができました。それに、チャンピオン獲得という形でお返しをできたのが、本当にうれしいです。不思議なことに、レースを始めて10数年がたって、今シーズンが一番ミスなく、乗れています。得意なコースとそうでないコースがなくなって、スタートも上手くなった。自分自身、この歳になってまたひと皮むけた実感があります。本当に調子の波のない、充実したシーズンです。

 シーズンは、まだTIでもう1戦残っています。ここでもビシッと勝って、最高の形でシーズンを締めくくりたいと思います。ぼくがTT-F1チャンピオンから10年ぶりのタイトルを決めた翌日、阪神タイガースも18年ぶりに優勝を決めました。タイガースの選手たちだって、盛大にビールかけと祝勝会をやった翌日にも、ゲームでもキッチリ勝ちましたからね。チャンピオン決めて気が緩んだ、なんていわれないように、シーズン6勝目を目指してがんばりますので、皆さん、また応援をよろしくお願いいたします!


RESULT
順位
ライダー
マシン
優勝
北川 圭一
スズキGSX-R1000
2位
辻村 猛
ホンダCBR954RR
3位
渡辺 篤
スズキGSX-R1000
4位
井筒 仁康
ホンダCBR954RR
5位
中富 伸一
ヤマハTZF-R1
6位
山口 辰也
ホンダCBR954RR
7位
沼田 憲保
ドゥカティ996(SBクラス)
8位
江口 馨
ホンダCBR954RR
9位
大崎 誠之
ヤマハYZF-R1
10位
出口 修
ホンダCBR954RR
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